文部科学省 平成24年~28年度大学間連携共同教育推進事業 北海道医療大学 岩手医科大学 昭和大学

ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成

概要・目的

概要・目的

図1

超高齢社会の到来により、歯科を受診する患者の「基礎疾患の有病率・服薬率」が増加しています。本事業では「患者中心の安全な歯科医療を実践」するために、全身の状態を把握した上で、歯科医療を行う際に基礎疾患に留意できる歯科医師を養成します。

高齢者には高頻度に口腔乾燥症(ドライマウス)がみられます。口腔内の痛みや味覚障害を合併しQOLを低下させるばかりではなく、誤嚥性肺炎の原因にもなります。服用薬剤や糖尿病などの全身疾患との関連も深く、口腔乾燥症の原因を理解し、治療を実践できる歯科医師を養成します。

さらに現在歯科医療は診療所に来院する患者を中心に提供していますが、超高齢社会の到来とともに要介護高齢者が増加し、在宅歯科医療(施設を含む)の充実が求められています。

地域医療、多職種連携のチーム医療を理解し、専門的口腔ケアを実践できる歯科医師を育てます。

期間

平成24年~平成28年度(5年間)

取組内容

ITを活用した教育センター(3大学と歯科医師会)における取組内容

  1. 能動型学習資源の改良[e-learning・VPシステム・電子ポートフォリオ]
  2. ITを活用した超高齢化社会に対応した歯学教育プログラムの開発
  3. 教育目標の到達度の評価
  4. ITを活用した歯学教育プログラムの改良
図2

全身と口腔の関連についての基礎知識の修得

  • 3年生 e-ラーニング

コミュニケーション・臨床推論能力の養成

  • 4年生 e-ラーニング VPシステム

臨床における実践

  • 臨床実習 (大学附属病院)
  • 地域連携歯科医療実習(歯科医師会)

ITを活用するので、いつでも連携して教育とその結果を共有することができ、ステークホルダーである歯科医師会も歯学教育に対して具体的な提言をすることができます。

一般目標と行動目標

■一般目標[GIO]
国民の健康に貢献できるオーラルフィジシャン(口腔科医)になるために、医療の仕組みを理解し、多職種連携のチーム医療に参加し、特に高齢者にみられることが多い口腔症状と各種全身疾患との関連を理解した上で、安心・安全な歯科診療を実施する能力を獲得する。

Step1:(3年生)
■行動目標[SBOs]
  1. 日本の将来人口推計等から今後の日本の医療・歯科医療体系を説明できる。
  2. 高齢者に多く見られる基礎疾患について概説できる。
  3. 高齢者に多く見られる基礎疾患の症状と全身および口腔の機能に対する影響を概説できる。
  4. 脳卒中後の患者の歯科診療における注意点を概説できる。
  5. 脳卒中発症から症状の回復までの一連の医療体制を概説できる。
  6. 医療・歯科医療の連携と病院におけるチーム医療の基本を説明できる。
  7. 唾液の分泌に影響を与える因子について説明できる。
  8. 口腔乾燥症の口腔内所見について説明できる。
  9. 口腔乾燥を認める患者に対する口腔のケアについて説明できる。
  10. 口腔内環境・機能検査を実施し、その結果を評価できる。

Step2:(4年生)

■行動目標[SBOs]
  1. 高齢者に多く見られる基礎疾患(糖尿病、心房細動など)について説明できる。
  2. 基礎疾患を有する患者の歯科診療における注意点を説明できる。
  3. 口腔乾燥を訴える患者の鑑別診断を説明できる。
  4. 口腔乾燥を訴える患者に対して医療面接で聞く内容を概説できる。
  5. 口腔乾燥症の症状と治療法を説明できる。
  6. 脳卒中の症状と全身および口腔の機能に対する影響を概説できる。
  7. 口腔内環境・機能検査を実施し、診断に活用することができる。
Step3:(5年生)
■行動目標[SBOs]
  1. 病診連携、病病連携を体験し、連携の意義を理解する。
  2. 多職種が連携した(医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、歯科技工士、その他の医療職)の病棟におけるチーム医療を理解し、体験する。
  3. 地域医療の多職種連携医療体験を通じて、保健・医療・福祉・介護の連携を理解し、歯科医師の役割を説明できる。
  4. 在宅(訪問)歯科診療の特殊性を理解し、基本的な態度・技術を修得する。
  5. 基礎疾患を有する患者に対して治療・ケア計画を立案できる。
  6. 口腔内症状と全身状態の関連を把握し治療計画を立案できる。
  7. 医師と連携して安心安全な歯科診療を実施できる。
  8. 口腔乾燥を訴える患者の診断および治療計画を立案できる。